うつ病 Depression
日常生活のなかで、気分が落ち込んだり物事に対する意欲が湧かなくなったりすることは誰にでも起こり得ます。しかし、その状態が長く続き、ご自身の力だけでは普段の心の平穏を取り戻すことが難しくなっている場合、それはうつ病のサインかもしれません。うつ病は決して心の弱さによるものではなく、脳の働きの不調や心身のストレスが関係して起こる病気です。千代田区麹町のグローバルヘルスケアクリニックでは、総合内科の立場から患者さんの心と身体の不調に寄り添い、適切な医療への架け橋となるサポートを行っています。
うつ病とは?こころとからだに現れる不調の仕組み
うつ病は、ゆううつな気分や意欲の低下といった精神的な症状だけでなく、睡眠障害や食欲不振、疲労感などの身体症状が長期間にわたって持続し、日々の生活に大きな支障をきたす病気です。気分の落ち込み自体は日常的なものですが、休息をとっても回復せず、ご自身の意思ではコントロールできない状態が続くことが特徴です。
うつ状態の背景には、心理的なストレスだけでなく、脳内の神経伝達物質のバランスの乱れや身体的な要因も深く関わっています。気分の変動や状態の持続性に応じて、医学的には以下のように整理されます。
| うつ状態 | こころが疲弊し、元気がなくなったりゆううつな気分が続いたりする一時的な状態。 |
|---|---|
| うつ病 | 強い抑うつ気分や興味の減退を伴ううつ状態が、2週間以上続く場合に診断されます。 |
| 躁状態 | うつ状態とは反対に、気分が過度に高揚し、眠らなくても活動的になる状態。 |
| 双極性障害(躁うつ病) | うつ状態と躁状態を周期的に繰り返す、気分の波が非常に大きな病気。 |
多くの患者さんは、気分の落ち込みよりも先に「身体がだるい」「眠れない」「頭が重い」といった身体の異変を感じて医療機関を受診されます。しかし、一般的な血液検査や画像検査では異常が認められず、原因がわからないまま悩まれるケースも少なくありません。うつ病は早期に気づき、適切な休息や専門的な治療を受けることで、症状の緩和や回復を目指すことができる病気です。
見逃しやすい初期サインとうつ病の代表的な症状
うつ病の症状は、こころの不調として現れる精神症状と、身体の異常として現れる身体症状の2つに大別されます。ご自身では単なる疲れだと思っていても、身体が無意識のうちに発しているSOSサインである場合があります。
日常生活の中で、以下のような変化やエピソードが思い当たる場合は、無理を重ねずに休息をとり、医療機関へ相談することを検討してください。
- 悲しみが込み上げてきて自然と涙が流れてしまう
- これまで楽しめていた趣味や活動にまったく興味が持てなくなった
- 人と会うことや連絡を返すのがおっくうに感じる
- お腹が空かず、食事の味が感じられなくなった
- 夜ベッドに入ってもなかなか寝付けず、途中で目が覚めてしまう
- 朝早くに目が覚めてしまい、その後の気分が特に重い
- 常に漠然とした焦りや不安感があり、じっとしていられない
- 仕事や家事に手がつかず、簡単な作業でもミスが増えた
- 朝起きたときに身体が鉛のように重く、動くことができない
- 「自分は生きている価値がない」「周囲に迷惑をかけている」と強く感じてしまう
- 集中力が続かず、決断を下すことができない
- このつらい状況から消えてしまいたいと考えてしまう
このような症状は、決してご本人の怠慢や性格の問題ではありません。睡眠障害でお悩みの方は不眠症・睡眠障害のページもご参照いただき、我慢せずにご相談ください。
うつ病はどうやって見極める?診断基準(DSM-5)の目安
うつ病の診断では、米国精神医学会が作成した診断基準(DSM-5)などが広く用いられています。この基準では、以下の9つの症状のうち、5つ以上が同じ2週間の間に存在し、それまでの生活からの明らかな変化が見られ、生活や仕事に重大な支障が出ている場合にうつ病が疑われます。
- ほとんど一日中、毎日のように続く抑うつ気分(悲しみ、空虚感、絶望感など)
- ほとんど一日中、すべての活動における興味や喜びの著しい減退
- 食事療法をしていないのに著しい体重の減少・増加、または毎日の食欲減退・増加
- 毎日のような不眠、または過度の睡眠(過眠)
- 毎日のような精神運動焦燥または制止(落ち着きを失う、または話し方や動作が遅くなる)
- 毎日のような疲労感、または気力の減退
- 自分には価値がないという無価値観、または過度で不適切な罪悪感
- 思考力や集中力の減退、または優柔不断(決断困難)
- 死について繰り返し考えること、自殺念慮または自殺企図
※日本うつ病学会監修 うつ病治療ガイドライン等の知見に基づく
上記の項目のうち、特に1番の「抑うつ気分」または2番の「興味・喜びの減退」のいずれか1つ以上が含まれていることが診断の重要な要件とされています。ご自身の状態を客観的に見つめ直す目安としてご活用ください。
うつ病になりやすい背景と発症の原因
うつ病は、単一の原因だけで発症するのではなく、複数の要因が複雑に重なり合って起こると考えられています。過重なストレスや生活環境の急激な変化、身体疾患の影響などが引き金となり、脳内の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)の働きに乱れが生じることで発症します。
環境要因と心理的ストレス
職場環境のプレッシャー、長時間労働、人間関係の摩擦、転勤や退職などの大きなライフイベントは、発症の背景となるリスク要因となり得ます。また、家族の不幸や離婚、経済的な不安といった喪失体験も心に深い負担を与えます。
性格傾向や個人の気質
真面目で責任感が強く、几帳面で完璧を求めるタイプや、他者への配慮を最優先して自己主張を控えがちな方は、ストレスを一人で抱え込みやすい傾向があります。限界まで頑張り続けてしまうことで、エネルギーが枯渇してしまいます。
身体疾患やホルモンバランスの変化
慢性的な身体疾患やホルモンの変動が、うつ状態を誘発することもあります。たとえば甲状腺機能低下症では、倦怠感や気力の低下といったうつ病に極めて類似した症状が現れます。疑わしい症状がある場合は、甲状腺機能亢進症・低下症のページで疾患の鑑別についてご確認いただけます。
うつ病の治療と回復へのステップ
うつ病の治療は、主に十分な休養、環境の調整、心理療法、そして薬物療法を組み合わせて進められます。焦らず段階を踏んで進めることが大切です。
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心身の十分な休養と環境調整
うつ病治療の土台となるのは、疲弊した脳と身体をしっかりと休ませることです。仕事の負担を軽減したり、必要に応じて休職の手続きをとったりして、ストレスの原因から一時的に距離を置く環境を整えます。休むこと自体が重要な治療の一環です。 -
専門医療機関での薬物療法と心理療法
精神科や心療内科では、脳内の神経伝達物質のバランスを整える抗うつ薬(SSRIやSNRIなど)を用いた薬物療法が行われます。また、物事の捉え方やストレスへの向き合い方を整理する認知行動療法などの心理的アプローチを併用し、再発を防ぎながら安定した状態を目指します。
当院の診療方針と専門医療機関への連携
身体の重だるさや頭痛、動悸などの自律神経症状をきっかけに、まずは一般内科を受診される患者さんは非常に多くいらっしゃいます。当院は総合内科のページにある通り、身体疾患の有無を丁寧に鑑別し、初期の相談窓口としての役割を果たします。
当院は精神神経科や心療内科を標榜していないため、専門的な精神科的診断や抗うつ薬を用いた継続的な専門治療を行うことはできません。しかし、内科的な観点から身体疾患を否定し、心の問題が疑われる場合には、責任を持って適切な専門医をご紹介いたします。患者さんの安全を守るため、無理な抱え込みはいたしません。
うつ病についてのよくある質問
うつ病かどうかわからないのですが、内科を受診してもよいですか?
はい、受診していただいて問題ありません。身体の不調の背景に甲状腺疾患や貧血などの内科疾患が隠れていないかを精密に確認した上で、専門的なケアが必要な場合は適切な医療機関をご紹介します。
うつ病の治療期間はどのくらいかかりますか?
回復までの見通しには個人差がありますが、一般的には数か月から1年以上の期間をかけて徐々に段階を踏み、症状が落ち着いて安定した状態(寛解)を目指していきます。
診察の費用はどのくらいかかりますか?
内科での診察や血液検査などは各種健康保険が適用されます。検査内容によって自己負担額は異なりますので詳細はお問い合わせください。
院長より
気分の落ち込みや意欲の低下は、外からは見えにくく、周囲に理解されにくい孤独な苦しみを伴います。私自身、過去にうつ病の闘病と寛解(症状が落ち着いて安定した状態)を経験しており、そのつらさは身をもって理解しております。
当院では理念のもと、忙しい患者さんの時間を大切にするため、ウェブ問診や予約システム、キャッシュレス決済を導入したスマートな診療環境を整えています。麴町駅から徒歩1分、半蔵門駅から徒歩5分の通いやすい立地にございますので、お一人で抱え込まず、まずは身体の不調のご相談からお気軽にお話しください。
詳しいアクセス方法はアクセスのページをご覧ください。
