デング熱 Dengue
デング熱は、熱帯や亜熱帯地域で広く見られる感染症ですが、2014年に日本国内での感染が報告されたことで、国内でも重要な感染症として認識されるようになりました。夏季を中心に、蚊を介した感染への注意が必要です。
デング熱の病原体と感染経路
デング熱は、日本脳炎や黄熱と同じフラビウイルス属に分類されるデングウイルスの感染によって引き起こされます。このウイルスは、主にネッタイシマカやヒトスジシマカといった蚊に刺されることでヒトに感染します。
現在、ネッタイシマカは日本国内には生息していませんが、ヒトスジシマカは沖縄から東北地方まで広く生息しています。そのため、海外からウイルスが持ち込まれ、蚊が活動する時期に媒介することで、国内での流行が再び発生する可能性は十分に考えられます。特に夏場は、適切な防蚊対策が重要です。
デング熱の分布状況
世界におけるデングウイルスの流行地域は以下の通りです。渡航の際は事前に確認することをお勧めします。
WHOによるデングウイルス感染症の分布
デング熱の症状と経過
デング熱の主な病態は、血管の脆弱化および透過性の亢進による血漿漏出です。典型的な経過は以下のステップに分けられます。
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潜伏期間
ウイルスを保有する蚊に刺されてから、通常4〜10日程度(最長で2週間)の潜伏期間があります。 -
発症期
突然の高熱で発症し、頭痛、眼窩痛、関節痛、筋肉痛、腰痛などの激しい痛みを伴います。発熱は5〜7日間ほど続きます。 -
発疹の出現
発熱の後半になると、痒みを伴う発疹が現れることがあります。デング熱の皮疹
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重症化への警戒期
発熱から数日が経過し、解熱し始める頃に血管の透過性が最も亢進します。この時期は血小板数の減少や血液濃縮がピークに達するため、解熱後数日間は慎重な観察が必要です。 -
回復期
発症から9〜10日目頃には肝酵素の上昇が見られることが多いですが、徐々に回復に向かいます。
デング熱の検査と診断方法
診断には、ウイルスの有無を調べる病原体検査と、体内の反応を調べる抗体検査の2種類があります。発症からの日数によって適切な検査方法が異なります。
| 病原体検査 | RT-PCR法によるウイルス遺伝子の検出、またはNS1抗原の検出を行います。発症早期のウイルス血症が持続している時期に有効です。 |
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| 抗体検査 | IgMおよびIgG抗体の検出を行います。IgM抗体は発症後4〜5日、IgG抗体は7〜10日目頃から出現します。 |
IgM抗体は数か月間にわたって検出されるため、過去の感染や他のフラビウイルス属との交差反応に注意し、回復期の数値上昇を確認して診断を確定させます。
デング熱の治療と受診について
デング熱には特異的な治療法がないため、症状を和らげる対症療法が基本となります。
- 有熱期間は安静を保ち、水分補給を十分に行います。
- 血液検査で白血球や血小板の推移を定期的に確認します。
- 解熱時に全身状態が悪化し、重症デング熱へ移行しないか注意深く見守ります。
適切な管理が行われれば致命率は低く、予後は良好です。全身状態が安定していれば外来での通院治療も可能です。当院ではデングウイルスNS1抗原およびIgM/IgG抗体を迅速に検出できるキットを常備しております。
