蕁麻疹 Urticaria
蕁麻疹(じんましん)は、皮膚の一部が突然赤く盛り上がり(膨疹・・ぼうしん)、強いかゆみを伴う身近な皮膚疾患です。多くの皮疹は数時間から24時間以内に跡形もなく消退しますが、毎日のように繰り返し出現したり、数週間にわたって長引いたりすることもあります。当院では「アレルギー科 Allegology」のページおよび「総合内科 General Medicine」のページを中心に、医学的根拠に基づいた丁寧な診療を行っています。
蕁麻疹とは?知っておきたい症状と特徴
蕁麻疹は、紅斑を伴う一過性で限局性の浮腫が病的に出没する疾患と定義され、多くの場合は強いかゆみを伴います。皮膚の毛細血管が拡張して血漿成分が漏れ出ることで、皮膚がみみず腫れのように盛り上がります。
皮膚の浅い部分に起こる通常の蕁麻疹に対して、皮膚や粘膜の深い層を中心に生じる限局したむくみは血管性浮腫と呼ばれます。血管性浮腫はまぶたや唇などに現れやすく、かゆみよりも腫れぼったさや熱感を自覚することが多く、消退までに数日かかることがあります。
蕁麻疹の多くは皮膚症状にとどまりますが、重症の場合には腹痛、嘔吐、発熱、気分不良、息苦しさなどの全身症状を伴うことがあります。息苦しさや血圧低下などを伴う重篤なアレルギー反応については、「食物アレルギー / アナフィラキシー Food allergy / Anaphylaxis」のページでも詳しく解説しています。
蕁麻疹が起こる原因と発症のきっかけ
蕁麻疹は、皮膚に存在する肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出され、血管や神経を刺激することで発症します。発症には、一時的な刺激となる「直接的要因」と、体調や体質に関係する「背景因子」が複雑に関与しています。
| 直接的要因(外因性・一過性) | 外来抗原、物理的刺激、発汗刺激、特定の食べ物、薬剤、運動など |
|---|---|
| 背景因子(内因性・持続性) | 特異的IgE抗体、感染症、疲労、精神的ストレス、基礎疾患など |
原因として即時型アレルギーが広く知られていますが、実際には明らかな外因を特定できないケースも少なくありません。かゆみを伴う皮疹が24時間以内に出没することを確認できれば、臨床的に蕁麻疹と診断されます。
蕁麻疹の主な種類と分類
蕁麻疹は、症状が続く期間や特定の誘因の有無によっていくつかのタイプに分類されます。ご自身の症状がどのタイプに当てはまるかを知ることが、適切な対処につながります。
自発的に現れる特発性の蕁麻疹
特定の誘因がなく自発的に皮疹が出没するタイプで、蕁麻疹の中で最も高い割合を占めます。形は円形や楕円形だけでなく、地図状や環状に広がることもあります。
- 急性蕁麻疹・・発症してから6週間以内のものを指します。感染症や疲労などが悪化因子となることがあります。
- 慢性蕁麻疹・・症状が6週間を超えて続くものを指します。夕方から夜間にかけて悪化しやすい傾向があります。
特定の刺激で起こる刺激誘発型の蕁麻疹
特定の刺激や状況が加わったときにのみ皮疹が出現するタイプです。刺激を避けることで予防できる場合が多く、通常は刺激が去ると数時間以内に消退します。
| アレルギー性蕁麻疹 | 特定の食物や薬剤などに対するアレルギー反応によって起こります。 |
|---|---|
| 食物依存性運動誘発アナフィラキシー | 特定の食物を摂取した後、2〜3時間以内に運動負荷が加わることで生じます。 |
| 非アレルギー性蕁麻疹 | アレルギー機序を介さずに、物質が直接細胞を刺激して発症します。 |
| アスピリン蕁麻疹 | 非ステロイド性消炎鎮痛薬(アスピリンなど)の使用によって誘発されます。 |
| 物理性蕁麻疹 | 皮膚への機械的擦過、寒冷、温熱、日光、圧迫などが刺激となって出現します。 |
| コリン性蕁麻疹 | 入浴、運動、精神的緊張など、発汗を促す刺激により小さな皮疹が現れます。 |
| 接触蕁麻疹 | 特定の物質が皮膚や粘膜に直接触れた部位に一致して生じます。 |
蕁麻疹に似た関連疾患
一般的な蕁麻疹と似た皮疹を示しますが、経過や病態が異なる疾患もあります。個別の詳しい見極めが重要となります。
- 蕁麻疹様血管炎・・皮疹が24時間以上持続し、消退後に色素沈着を残す特徴があります。
- 色素性蕁麻疹・・皮膚組織内の肥満細胞の異常増殖が関係しています。
- Schnitzler症候群・・周期的な発熱や骨痛などを伴うまれな症候群です。
蕁麻疹の検査と診断の流れ
蕁麻疹の診断は、皮疹の性状、持続時間、出現する時間帯、誘因となる生活習慣などの丁寧な問診が中心となります。受診時に皮疹が消えていることも多いため、スマートフォンなどで症状出現時の写真を撮影してお持ちいただくと診療が円滑です。
特定の食物や環境抗原に対するアレルギーが疑われる場合には、血液検査による特異的IgE抗体の測定を検討します。当院で行っている検査内容は頻度の高いアレルゲンを調べるView39という検査になります。
蕁麻疹の治療法と日常の過ごし方
蕁麻疹治療の基本は、抗ヒスタミン薬の内服治療です。ヒスタミンの働きをブロックすることで、かゆみや膨疹の出現を抑える効果が期待できます。
お薬の効き方や眠気などの感じ方には個人差があります。処方された薬剤で十分なコントロールが得られない場合には、薬剤の変更、増量、または作用機序の異なるお薬の追加などを段階的に検討します。
皮膚疾患の治療ではステロイド外用薬がよく使われますが、蕁麻疹の症状に対しては原則として推奨されていません。かゆみが強い部位を冷たいタオルなどで局所的に冷やすことや、抗ヒスタミン含有軟膏の使用が症状緩和に役立つことがあります。
日常生活では、疲労や睡眠不足、精神的ストレスをためないように心がけましょう。また、過度の飲酒、香辛料の過剰摂取、熱いお風呂への長時間の入浴など、血流が急激に良くなる行動はかゆみを強める場合があるため注意が必要です。
蕁麻疹についてのよくある質問
Q1. 蕁麻疹が出たときは患部を温めたほうがよいですか?それとも冷やすべきですか?
A1. 患部を温めると血管が広がり、かゆみや赤みが悪化しやすくなります。保冷剤をタオルで包んだものなどで冷やすと、かゆみの神経を鎮める効果が期待できます。ただし、寒冷刺激そのもので蕁麻疹が出る「寒冷蕁麻疹」が疑われる場合は冷却を避けてください。
Q2. 皮疹が消えたら、処方された抗ヒスタミン薬の服用をやめてもよいですか?
A2. 急性蕁麻疹で数日間症状が出ない場合は中止できることもありますが、慢性蕁麻疹では皮疹が消えても皮膚の下で過敏状態が続いていることがあります。自己判断で急に中止すると再発することがあるため、医師の指示通りに服薬を続け、徐々に減量していくことが大切です。
Q3. 蕁麻疹の診察や治療にはどのくらいの費用がかかりますか?
A3. 蕁麻疹の診療は公的医療保険が適用されます。初診料や再診料、処方箋料のほか、アレルギー血液検査を実施した場合は検査費用が加算されます。処方されるお薬の種類や日数によってもご負担額は異なりますので、詳しくは当院までお問い合わせください。
当院のアレルギー診療と院長より
グローバルヘルスケアクリニックでは、「Patient First」の診療理念のもと、医療の質と安全の確保を最優先にした外来診療を行っています。院長は日本アレルギー学会認定アレルギー専門医および日本専門医機構認定小児科専門医、指導医の資格を有しており、成人はもちろん「小児科 Pediatrics」のページで扱うお子様の蕁麻疹まで、医学的根拠に基づいた的確な医療を提供します。当院は、麴町駅から徒歩1分、半蔵門駅から徒歩5分、市ヶ谷駅および四ツ谷駅から徒歩10分の通いやすい立地にあります。忙しい日常の合間でもスムーズに受診していただけるよう、ウェブ予約・ウェブ問診システムやセミセルフレジ、キャッシュレス決済を完備しています。急に現れた蕁麻疹やつらいかゆみが続く慢性蕁麻疹でお困りの際は、どうぞ安心してご相談ください。
