咳過敏症候群について
これまで慢性咳嗽は主に気管支喘息・咳喘息・アトピー咳嗽・副鼻腔気管支症候群・胃食道逆流症などの疾患によって起こると考えられてきました。しかしこれらの患者さんの大部分は慢性咳嗽がないこと、患者さんの多くはどの疾患にも当てはまらず原因不明と診断されることが一般的であることから、これらの疾患における病態は咳嗽の直接的な原因ではなく、引き金として作用する可能性があると考えられます。このような背景から近年「咳過敏性症候群(Cough hypersensitivity syndrome: CHS)」という概念が提唱されました。CHSは咳症状を主症状として「様々な疾患や原因が誘発因子となり、低レベルの刺激でも咳嗽が発生する症候群」として定義されています。
主な臨床像としては喉頭違和感(喉の乾燥やイガイガ感)・空気が乾燥していると咳が出る・会話中や歌唱中に咳が出る・香水などの香りで咳が出る・食事中に咳が出る・胸やけがあるなどが判断基準となります。慢性咳嗽では吸入ステロイドなどが中心的役割を占めていましたが、近年ではゲーファピキサント(リフヌア®)の有効性が期待されています。