子どもと新型コロナウイルスの変異株の感染について
日本小児科学会 予防接種・感染対策委員会は2021年3月23日付で上記に関する見解を公表しています。
変異株は、これまで流行していた株(既存株)に比べて1 人の感染した人から他の人へ感染させる力が強いことが知られています。いくつかの変異株が世界各地から報告されていますが、英国で流行が始まり国内でも多く見つかっているものは最大 70%感染力が高い(これまでに比べ、1.7 倍の感染力)ことが示されています。国内では子どもが集まる施設でこの変異株によるクラスターの報告がされ、多くの子どもが感染しています。
しかし変異株が既に広がっている英国・ロンドンでは、変異株による感染は特に子どもに多いということはなく、成人と子どもの感染者の割合は変異株の出現した前後で大きく変わっていません。また一方で変異株が子どもに感染した場合、既存株と異なる経過を示すことはないと報告されています。子どもでは感染者の多くが無症状から軽症で、既存株でも変異株でもその違いはありません。
頻度の高い症状としては、発熱、せき、鼻水、下痢、頭痛などがあげられます。変異株が子どもにより重い症状を引き起こす可能性を示す証拠はこれまでに得られていません。
変異株への対策はこれまでと変わりはありませんが、特に感染力が強いウイルスは、感染対策が上手くできない小さな子どもへの感染の広がりが心配されています。今後、国内での変異株の広がりと子どもの感染者について慎重に見ていく必要があります。