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2019/2020 シーズンのインフルエンザ治療指針

[2019.11.04]

日本小児科学会 新興・再興感染症対策小委員会 予防接種・感染症対策委員会は、2019 /2020 シーズンの 流行期を迎えるにあたり、 治療指針を更新しました。

季節性インフルエンザに対する抗インフルエンザ薬の有効性に関する知見は、有熱期間の短縮のほか、抗インフルエンザ薬の早期投与による重症化予防効果が示されています。しかしながら、飛沫感染対策としての咳エチケット(有症者自身がマスクを着用し、咳をする際にはティッシュやハンカチで口を覆う等の対応を行うこと)、接触感染対策としての手洗い等の手指衛生を徹底すること の 大切 さは変わりません。

<治療対象について>
  • 幼児や基礎 疾患があり、インフルエンザの重症化リスクが高い患者さんや呼吸器症状が強い患者さんには投与が推奨されます。
  • 発症後 48 時間以内の使用が原則ですが、重症化のリスクが高く症状が遷延する場合は、発症後 48 時間以上経過していても投与を考慮します。
  •  基礎疾患を有さない患者さんであっても、症状出現から 48 時間以内にインフルエンザと診断された場合は、各医師の判断で投与を考慮します。
  • 一方で、 多くは自然軽快する疾患でもあり、抗インフルエンザ薬の投与は必須ではありません
<選択薬について>
  • オセルタミビル(タミフルⓇ)*1)
  • ザナミビル(リレンザⓇ)
  • ラニナミビル(イナビル Ⓡ)
  • ペラミビル(ラピアクタⓇ)
  • バロキサビル マルボキシル(ゾフルーザ Ⓡ)**2)

*1)就学期以降 の小児 ・未成年者 には、「異常行動などの 有害事象 について注意を行った上で投与を考慮 し 、 少なくとも発熱から 2 日間、保護者等は 異常行動に伴って生じる 転落等の 重大 事故に対する防止対策を講じる必要があること」が明記されています。 平 成 30 年 日本医療研究開発機構( AMED 研究班 の検討によりインフルエンザ罹患後の異常行動がオセルタミビル 使用者 に限った 現象ではないと判断し、 全ての抗インフルエンザ薬 の添付文書 について副作用の項に「 因果関係は不明であるものの、インフルエンザ罹患時には、転落等に至るおそれのある異常行動(急に走り出す、徘徊する等)があらわれることがある」 と追記 し ています。

**2)12歳未満の小児に対する積極的な投与は推奨されません。 使用経験 に関する報告 が少ない事や薬剤耐性ウイルスの出現が認められる理由からです。 一方で 現時点 において は 同薬に対する使用制限は設けてはいませんが、使用に当たっては耐性ウイルスの出現や伝播について注意深 く 観察する必要があると考えられています。なお、免疫不全患者では耐性ウイルスの排泄が遷延する可能性があり同薬を単剤で使用すべきではないとされています。また重症例・肺 炎例については他剤との併用療法も考慮されますが、十分なデータを持たないため現時点では検討中としています。

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