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2021年のCOVID-19を振り返る

[2021.12.31]

2021年もCOVID-19の収束はかなわず現在も新たな変異株の出現により世界的には流行が再び拡大している状況です。今年のCOVID-19に関する3つの話題を振り返ってみました。

① COVID-19ワクチン接種開始

昨年までは飛沫感染対策を中心とする個々の努力でしか拡大を抑えることができなかったCOVID-19に対してワクチンが開発・実用化され、日本でも本年2月より医療従事者を皮切りに接種がスタートしました。ワクチンは安全性・有効性が実証されれば感染症予防の最も確実で簡単なツールであり、COVID-19制圧に向けての折り返し地点に立ったとも言えるべきニュースであったと考えます。開始当初は海外からの輸入量によると思われる供給不足と、各自治体への供給量格差や人手不足などにより諸外国に比べてなかなか接種スピードが上がらなかったものの、6月頃からは医療機関での個別接種だけではなく、企業や大学などでの職域接種や大規模接種などにより、短期間に多くの国民が2回接種を完了しました。当初は2回接種することで当面は免疫が維持されることが想定されていましたが、予想以上に中和抗体の減衰や接種後感染事例が確認されるようになり、さらには新たな変異株に備えることも踏まえ、12月からは3回目としての追加接種が開始されています。現在使用されているm-RNAワクチンやウイルスベクターワクチンに加え、より改良されたワクチンの開発が期待されるところです。

② COVID-19治療薬の開発

感染症対策として最も重要な予防ツールとしてワクチンが実用化されたことに次いで治療薬が開発されたことも朗報でした。昨年までは抗ウイルス活性があると考えられた既存の医薬品による対症療法が中心であった治療戦略がCOVID-19に特化した治療にシフトすることとなり、予後にも大きな変化をもたらすことが期待されます。現段階では注射薬が主たる選択肢となっていることや、薬剤を輸入に頼らざるを得ないことなどから、供給量や使用可能施設に制限があることが課題でありますが、経口薬の実用化や国内製造ラインの充実化が進むことで、多くの患者に対し早期に投与することが可能となります。COVID-19は発症当初は軽症であっても経過中に重症化する事例が少なくはないことから、診断後速やかに投与できる治療薬の実用化は、医療提供体制の維持だけではなく、ウィズコロナとして社会活動を推進していくためにも早期の承認と使用範囲の拡大が望まれるところです。

③ SARS-CoV-2変異株の影響

日本では昨年1月に初めてのCOVID-19症例が確認されて以来、これまでに5つの大きな流行の波を経験してきました。2021年では昨年末から年始にかけての英国由来のアルファ株による第3波、7月末から8月中旬にかけてのインド由来のデルタ株による第5波は、本来であれば入院加療が必要とされる患者であっても自宅療養を余儀なくされ、さらにはCOVID-19対応だけにとどまらず、通常の医療提供体制に影響が及ぶほどの大きなインパクトをもたらしました。8月下旬頃から流行は低い水準で抑えられ、ようやく社会活動の再開に向けたウィズコロナ政策が打ち出されつつある矢先のところで新たな変異株であるオミクロン株の出現が確認され、年末にかけて瞬く間に世界に拡散しつつある状況です。昨年3月に起こった初めての大きな波も海外からの帰国者や渡航者によって持ち込まれたことが推測されていますが、国内での流行がコントロールできていたとしても、諸外国との人の往来が継続される以上は輸入感染症としての備えは常時必要です。SARS-CoV-2はわずか2年の間に様々な変異を繰り返しており、その可能性は今後もあり得るでしょうが、さらなる脅威をもたらすのか、呼吸器系Common diseasesに落ち着くのか、先が見えない状況が続いています。

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