HIV感染症 HIV / AIDS
HIV感染症とエイズ(AIDS)の正確な知識を持つことは、早期発見と適切な治療への第一歩です。ここでは、HIV感染症の基礎知識から検査、最新の治療法について解説します。
HIV感染症とエイズの違い
HIV感染症はヒト免疫不全ウイルスに感染した状態を指します。このウイルスが体内で増殖し、免疫機能が低下して特定の病気(日和見感染症など)を発症した状態が後天性免疫不全症候群(AIDS)です。したがって、HIV感染とAIDSは同じではありません。HIVは免疫の要であるCD4陽性Tリンパ球に感染して免疫系を破壊していきますが、無治療の場合、初期段階から数年以上の経過を経てエイズへと進行します。
HIV感染症の臨床経過
感染初期(急性期)
感染の機会から2〜6週間程度で、発熱や倦怠感、筋肉痛、発疹など、インフルエンザに似た症状が出現することがあります。これは急性HIV感染症と呼ばれ、通常は数週間以内に自然に消失します。
無症候期
急性期の症状が治まった後は、数年から10年程度の自覚症状がない期間が続きます。症状はありませんが、ウイルスは体内で増殖を続けており、徐々に免疫力が低下していきます。
AIDS発症期
免疫状態の指標であるCD4陽性リンパ球が減少し、身体の抵抗力が著しく低下すると、本来なら感染しないような弱い病原体による日和見感染症などを発症します。以下の23種類の日和見感染症のいずれかを発症した時点で、AIDSと診断されます。
指標となる23種類の日和見感染症
- 真菌症:カンジダ症、クリプトコッカス症、コクシジオイデス症、ヒストプラズマ症
- 原虫・細菌感染症:ニューモシスチス肺炎、トキソプラズマ症、クリプトスポリジウム症、イソスポラ症、化膿性細菌感染症、サルモネラ菌血症、活動性結核、非結核性抗酸菌症
- ウイルス感染症:サイトメガロウイルス感染症、単純ヘルペスウイルス感染症、進行性多巣性白質脳症
- 腫瘍・その他:カポジ肉腫、原発性脳リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、浸潤性子宮癌、反復性肺炎、リンパ性間質性肺炎・肺リンパ過形成、HIV脳症、HIV消耗性症候群
HIVの検査と診断方法
診断には血液検査を行い、HIVの抗原と抗体を調べます。スクリーニング検査で陽性反応が出た場合でも「偽陽性」の可能性があるため、必ず精度の高い確定検査を行います。感染が確定した後は、血中のウイルス量(HIV-RNA量)やCD4陽性リンパ球数を定期的に測定し、病状や治療の効果を判断します。
最新のHIV治療(ART)
現在は抗HIV薬3剤以上を併用した強力な治療(ART)が標準的です。かつては大量の薬が必要でしたが、現在では1日1回1錠の服用で済む治療が主流となっており、仕事や日常生活を維持しながら治療を継続できます。アドヒアランス(指示通りに服薬すること)を維持できれば、免疫状態を良好に保つことができ、外来通院での管理も十分に可能です。
当院での診療とサポート体制
当院では、HIV感染症の専門的な診療と、患者様のプライバシーに配慮した相談体制を整えています。
| 専門医による診断 | 身体障害者福祉法第15条に基づき、免疫の機能障害の診断を担当する医師が在籍しています。 |
|---|---|
| 指定医療機関 | 自立支援医療(更生医療)指定診療所の認定を受けています。 |
| 書類作成の対応 | 身体障害者手帳の申請に必要な診断書や意見書の作成が可能です。 |
| プライバシーへの配慮 | 周囲の目が気になる場合は、カウンセリングルームでの診察にも対応いたします。 |
| 迅速な検査体制 | 当院では、短時間で結果が判明する簡易キットによる即日検査も実施しています。 |
HIV感染に関する相談は随時承っております。明らかな症状がない場合の検査や相談は自費診療となりますのであらかじめご了承ください。また、当院はエイズ対策政策研究事業の特別研究協力者として、より良い検査・診療体制の構築に協力しています。
