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帯状疱疹 Herpes zoster

当院では帯状疱疹の診断・治療だけではなく、帯状疱疹発症予防に特化したワクチン(シングリックス®)接種を行っています。既存の水痘ワクチンに比べて帯状疱疹発症予防だけではなく、帯状疱疹後神経痛に対してはきわめて高い予防効果が得られるとされています。詳細は帯状疱疹予防jpをご参照ください。

帯状疱疹予防.jp(GlaxoSmithKline社)

シングリックス免疫原性

*新型コロナウイルスワクチンと帯状疱疹

van DamらはCOVID-19ワクチンを接種後に帯状疱疹を発症した2症例を報告していますが、その考察の中で各データベースから発症した割合を明記しています。The European Eudra Vigilance Databaseによれば、ファイザー製で4103例(1.3%)、モデルナ製で590例(0.7%)、アストラゼネカ製で2143例(0.6%)、ヤンセン製で 59例(0.3%)。The United States Vaccine Adverse Event Report System(VAERS)によればファイザー製で2512例(1.3%)、 モデルナ製で1763例(0.9%)、アストラゼネカ製で302例(0.7%)。The Dutch pharmacovigilance center Larebによればファイザー製で300例(0.8%)が報告されています。さらなる分析が必要と提言していますが、この論文以外にも症例ベースでの報告は国内外で散見されており、単なる偶然とは言い難い現象とも考えられます。ワクチン接種後に免疫が低下した状態になっているのかどうか、その証明は困難ではありますが、ファイザー製ならびにアストラゼネカ製ワクチンの臨床試験において注射後の一過性リンパ球減少が確認されたという報告もあり、帯状疱疹ウイルスの再活性化の可能性が示唆されています。その一方で、ファイザー製ワクチンの安全性を評価した論文4)に、COVID-19に罹患した場合とワクチン接種した場合の有害事象を比較検討したデータがあり、実質上はワクチン接種後の有害事象としてリンパ節腫脹、帯状疱疹、虫垂炎、心筋炎などが確認されましたが、心筋炎以外は有意なものではないとの結論に至っています。日本でも使用できるようになった帯状疱疹に対する組み換えサブユニットワクチンは認知度が低くかなり高価ではありますが、このような機会から高齢者へ推奨されるワクチンのひとつとして選択肢に加えることも一案かと考えます。(日本医事新報No.5096 (2021年12月25日発行) P.58より)

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