帯状疱疹 Herpes zoster
帯状疱疹(Herpes zoster)は、多くの人が子供の頃に経験する「水ぼうそう」と同じウイルスが原因で起こる病気です。一度水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体内の神経節に長期間潜伏し続けます。加齢や過労、ストレスなどで免疫力が低下した際に、このウイルスが再び活動を始めることで、皮膚にピリピリとした痛みや発疹を引き起こします。千代田区麹町のグローバルヘルスケアクリニックでは、日本感染症学会認定感染症専門医・指導医である院長が、根拠に基づいた丁寧な診療を行っております。
当院は、麴町駅から徒歩1分、半蔵門駅から徒歩5分という利便性の高い場所にあり、お忙しい方でも受診しやすい環境を整えています。帯状疱疹は早期の治療開始がその後の経過を大きく左右するため、違和感があればすぐにご相談ください。私たちのクリニックでは、Patient Firstを掲げ、高度な専門性と安全性を確保した医療を提供することをお約束します。また、発症を未然に防ぐためのワクチン接種にも力を入れており、地域の皆さんの健康維持に貢献したいと考えています。平易な説明を心がけておりますので、どなたでも安心してご来院ください。
帯状疱疹の症状について
帯状疱疹の症状は、多くの場合、皮膚の痛みや違和感から始まります。その後、数日から1週間ほどして、赤みや水ぶくれが帯状に現れるのが特徴です。ここでは、臨床現場でよく見られる具体的な症状の経過を解説します。
初期症状(皮膚の変化が起こる前)
目に見える発疹が出る数日前から、体の片側の一定の範囲に、ピリピリ、チクチクといった痛みや、焼けるような熱感、電気が走るような違和感が生じます。この段階では皮膚に異常がないため、虫刺されや筋肉痛、あるいは内臓の病気と勘違いされることも少なくありません。左右どちらか一方だけに症状が現れることが重要な特徴です。
発疹の出現と変化
痛みがある部位に沿って、赤い斑点(紅斑)が現れ、その上に小さな水ぶくれ(水疱)が多数集まって発生します。水ぶくれは次第に濁って黄色くなり、1週間から10日ほどで破れてかさぶた(痂皮)へと変化していきます。通常、皮膚の症状は2週間から4週間程度で治まりますが、帯状疱疹の本当の辛さは痛みにあります。
帯状疱疹後神経痛(PHN)
皮膚の発疹が完全に治った後も、痛みが数ヶ月から数年にわたって続くことがあります。これを帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼びます。ウイルスによって神経が傷つけられることが原因で、特に高齢者ほど移行しやすい傾向にあります。この後遺症を防ぐためには、早期に適切な抗ウイルス薬を服用することが極めて大切です。
帯状疱疹の原因について
帯状疱疹の直接的な原因は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)です。しかし、なぜこのウイルスが突然暴れ出すのか、その背景には現代社会ならではの要因も絡んでいます。当院では感染症の専門的な視点から、そのメカニズムを紐解きます。
ウイルスの再活性化
水ぼうそうが治った後も、ウイルスは脊髄近くの「神経節」という場所に身を潜めています。普段は私たちの免疫力がウイルスを抑え込んでいますが、何らかのきっかけで免疫の監視をすり抜け、ウイルスが神経を伝わって皮膚へと移動します。これが再活性化と呼ばれる現象です。この過程で神経を破壊するため、強い痛みが生じるのです。
免疫力を低下させる「リスク因子」
免疫力が下がる要因には、以下のようなものが挙げられます。これらが重なると、発症の可能性が高まると考えられています。
- 加齢(特に50代以降で発症率が急増します)
- 過労や精神的なストレス
- 睡眠不足や不規則な生活習慣
- 重い病気や、その治療による免疫抑制状態
新型コロナウイルスワクチンとの関係
近年の報告によると、COVID-19ワクチン接種後に帯状疱疹を発症した症例が確認されています。これはワクチン接種後の一過性リンパ球減少などが関与し、ウイルスの再活性化を招いた可能性が示唆されています。詳細については、以下の報告例をご参照ください。
| 報告データベース | ワクチン別の症例報告割合 |
|---|---|
| 欧州 Eudra Vigilance | ファイザー製・・4,103例(1.3%) モデルナ製・・590例(0.7%) アストラゼネカ製・・2,143例(0.6%) |
| 米国 VAERS | ファイザー製・・2,512例(1.3%) モデルナ製・・1,763例(0.9%) |
当院の新型コロナウイルス感染症に関する取り組みについては「新型コロナウイルス感染症」のページを参照してください。
帯状疱疹の病気の種類について
帯状疱疹は全身どこにでも発症しますが、発生する場所によって異なる合併症を引き起こすことがあります。当院では小児科や内科、アレルギー科などの多角的な視点から、全身の状態を評価します。
胸部・腹部の帯状疱疹
最も頻度が高いタイプです。脇の下から胸、あるいはお腹のあたりに帯状に広がります。最初は肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)などの別の痛みと間違われることがありますが、数日後に発疹が出ることで診断がつきます。
顔面の帯状疱疹(三叉神経)
顔の感覚を司る「三叉神経(さんさしんけい)」に沿って現れます。特に注意が必要なのは、目の周りに症状が出た場合です。角膜炎や結膜炎を引き起こし、重症化すると視力低下を招くリスクがあるため、眼科との連携が必要です。
耳の帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)
耳の周りに発疹が出るほか、顔面神経麻痺(顔がゆがむ、目が閉じにくい)や、耳鳴り、めまい、難聴を合併するものです。これらは神経の炎症が強いために起こるもので、早急に専門的な加療を開始する必要があります。
播種性(はしゅせい)帯状疱疹
通常は片側の一部に限局しますが、ウイルスが血流に乗って全身に広がり、広範囲に水ぶくれが出る状態です。著しく免疫が低下している方に多く、入院による点滴加療が必要となるケースがあります。
帯状疱疹の治療法について
当院における帯状疱疹の治療の柱は、ウイルスの増殖を抑えることと、痛みを適切にコントロールすることにあります。感染症専門医・指導医の知見に基づき、お一人おひとりの状態に合わせた処方を行います。
抗ウイルス薬による治療
アシクロビル、バラシクロビル、アメナメビルといった抗ウイルス薬を使用します。これらの薬は、ウイルスの増殖を抑制し、病気の期間を短縮させ、後遺症のリスクを減らす効果が期待できます。発疹が出てから72時間以内に服用を開始するのが理想的です。
痛みの緩和(鎮痛療法)
急性期の激しい痛みに対しては、消炎鎮痛薬や、神経の痛みに特化したお薬を使用します。痛みを我慢しすぎると、脳が痛みを記憶してしまい、慢性的な帯状疱疹後神経痛へ移行しやすくなると考えられています。症状に合わせて適切に薬を選択します。
局所処置と生活上の注意
水ぶくれが破れて細菌感染を起こさないよう、必要に応じて軟膏処置を行います。安静を保ち、患部を冷やさないように温めることが推奨される場合もあります。ご自身で判断せず、医師の指導に従ってください。
一般的な成人の症状については「一般的な成人の病気」のページも併せてご覧ください。
帯状疱疹の予防接種について
当院では、発症予防および重症化予防として、帯状疱疹ワクチン(シングリックス)の接種を推奨しています。特に50歳以上の方は、免疫力の低下に備えて検討されることをお勧めします。
不活化ワクチン(シングリックス®)
非常に高い予防効果が示されているワクチンです。2回接種が必要ですが、帯状疱疹の発症を抑えるだけでなく、苦しい後遺症である帯状疱疹後神経痛に対しても極めて高い防御効果が得られるとされています。
生ワクチン(水痘帯状疱疹ワクチン)
以前から使用されている水痘ワクチンです。費用は比較的安価ですが、シングリックスと比較すると予防効果や持続期間は劣ります。患者さんの希望や健康状態を考慮し、どちらが適しているかを相談して決定します。
料金について
千代田区にお住いの方で国の定期接種に該当する方は接種費用の全部、任意接種に該当する方は接種費用の一部を公費負担で接種することができます。それ以外の方は全額自費となります。シングリックスは費用が高めですが、その高い有効性から現在広く用いられています。
| ワクチン名 | 1回あたりの費用(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| シングリックス(不活化) | 24,200円 | 2回接種 |
| 水痘ワクチン(弱毒生) | 10,450円 | 1回接種 |
ワクチンの詳細については、外部サイトの「帯状疱疹予防.jp」もご参照ください。
予防接種の全般的な案内は「予防接種」のページにてご確認いただけます。
帯状疱疹についてのよくある質問
Q1. 帯状疱疹は他人にうつりますか?
A1. 帯状疱疹としてうつることはありませんが、水ぼうそうにかかったことがない人(特に乳幼児)には、水ぼうそうとしてうつる可能性があります。水ぶくれが乾燥してかさぶたになるまでは、接触を避けてください。
Q2. お風呂に入っても大丈夫ですか?
A2. 基本的には入浴して問題ありません。患部を温めることで痛みが和らぐこともあります。ただし、石鹸でゴシゴシ擦ることは避け、優しく洗い流す程度にしてください。疲労が溜まっている場合は、短時間の入浴に留めましょう。
Q3. 2回以上かかることはありますか?
A3. かつては一度かかれば終生免疫が得られると考えられていましたが、近年では再発するケースも珍しくありません。特に免疫力が低下している場合は注意が必要です。
Q4. 跡は残りますか?
A4. 早期に治療を始めれば、多くの場合、跡形もなく綺麗に治ります。しかし、重症化して水ぶくれが深く傷ついたり、細菌感染を合併したりすると、色素沈着や傷跡が残ることもあります。
