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食物アレルギー Food allergy

定義と背景

 食物アレルギー(Food allergy)原因となる食物を摂取した後に免疫学的機序を介して起こる不利益な症状(皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、神経、循環器などの臓器症状)が惹起される現象と定義されます。食物またはその成分がアレルギー症状に関与している場合は、その侵入経路を問わず(食べただけに限らず)食物アレルギーとします。有症率は乳児期が最も高く、加齢とともに減ってきます。日本における主要原因食物は鶏卵、牛乳、小麦ですが、年齢によって種類や順位が異なる特徴があります。症状は皮膚症状が多くみられますが、ショック症状が約1割にみられます。乳幼児期の食物アレルギーの多くは成長とともに消化管機能、物理化学的防御機構、経口免疫寛容の発達などにより原因食物に対する耐性を自然に獲得します。しかし、乳幼児期に発症する食物アレルギーの患者さんは成長とともに喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などを高頻度に発症するリスクが高いといわれています。

 食物アレルギーの発症予防のため妊娠中や授乳中の母親が特定の食物を除去することは科学的根拠がないばかりか、母親の栄養状態に対して有害であることから推奨されていません。また発症リスクの高い乳児に対して、特定の食物摂取開始時期を遅らせることもそのリスクを低下させる根拠はなく推奨されません。

診断 

 食物アレルギーは特定の食物摂取によりアレルギー症状が誘発され、それが特異的IgE抗体などの免疫学的機序を介する可能性を確認することで診断されます。乳児のアトピー性皮膚炎では、まずスキンケアによる湿疹を改善した上で食物アレルギーの関与について精査を行います。免疫学的検査には特異的IgE抗体検査(血液検査)、皮膚プリックテストなどがあります。当院では36種類の特異的IgE抗体検査(MAST36が実施可能です。

食物依存性運動誘発アナフィラキシー(Food-dependent exercise-induced anaphylaxis; FDEIA)

 食物摂取後に運動をすることによってアナフィラキシーが誘発される病気です。原因食物は小麦と甲殻類が多いとされ、食後2時間以内の運動による発症が大部分ですが、誘発のしやすさにはいくつかの要因が関与します。

 

花粉-食物アレルギー症候群(Pollen-foodallergy syndrome; PFAS)

 口腔アレルギー症候群の病態の一つで主な原因食品は果物、生野菜、豆類です。原因となるアレルゲンとして花粉との交差抗原性を示す物質が関与するといわれています。

主な花粉と交差反応性が証明されている野菜・果物
  • ヒノキ科(スギ)= ナス科(トマト
  • カバノキ科(シラカンバ、ハンノキ)= バラ科(リンゴ、サクランボ、モモ、スモモ、西洋ナシ、アンズ、アーモンド)・セリ科(セロリ、ニンジン)・ナス科(ジャガイモ)・マメ科(ダイズ、ピーナッツ)・マタタビ科(キウイフルーツ)・ウルシ科(マンゴー)・カバノキ科(ヘーゼルナッツ
  • イネ科= ウリ科(メロン、スイカ)・ナス科(トマト、ジャガイモ)・マタタビ科(キウイフルーツ)・ミカン科(オレンジ)・マメ科(ピーナッツ
  • キク科(ブタクサ)= ウリ科(メロン、スイカ、キュウリ、ズッキーニ、カンタローブ)・バショウ科(バナナ
  • キク科(ヨモギ)= セリ科(セロリ、ニンジン)・ウルシ科(マンゴー
ラテックス-フルーツ症候群(Latex fruit syndrome)

 医療用手袋などに使用される天然ゴムに含まれるラテックス抗原と果物や野菜に含まれる抗原との交差反応性により、ラテックスアレルギー患者さんの30-50%に発症します。リスクが高い食品として、アボカド、クリ、バナナ、キウイフルーツがあります。

 

* 食物アレルギー診療ガイドライン 2016 ダイジェスト版

 
<日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会編 食物アレルギー診療ガイドラインより抜粋>
 
 
 

 

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