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脂質異常症 Dyslipidemia

 脂質異常症は自覚症状がほとんどありません。したがって、問診により既往歴や家族歴から診断の手掛かりとなる情報を得たり、今ある病気や生活習慣から動脈硬化性疾患の危険因子を把握します。脂質異常症診断のために行う検査項目は、総コレステロール(TC)、トリグリセライド(TG)、HDCコレステロール(HDLC; 善玉コレステロール)で、LDLコレステロール(LDLC; 悪玉コレステロール)は計算式によって求めます。この他の項目としては、肝機能(AST, ALT, LDH, γGTP, ALP, コリンエステラーゼ)、筋酵素(CPK)、腎機能(BUN, クレアチニン、推算糸球体濾過量 eGFR)、尿酸値、血糖値、内分泌学的検査、尿検査などがあります。脂質異常症の診断基準は以下の通りです。この数値は動脈硬化発症リスクを判断するためのスクリーニング値で、治療開始のための数値ではありません。

脂質異常症の診断基準
  • LDLコレステロール 140 mg/dL以上:高LDLコレステロール血症
  • LDLコレステロール 120-139 mg/dL:境界域高LDLコレステロール血症
  • HDLコレステロール 40 mg/dL未満:低HDLコレステロール血症
  • トリグリセライド150 mg/dL以上:高トリグリセライド血症
  • Non-HDLコレステロール 170 mg/dL以上:高non-HDLコレステロール血症
  • Non-HDLコレステロール 150-169 mg/dL:境界域non-HLDコレステロール血症 

<日本動脈硬化学会編 動脈硬化性疾患予防ガイドラインより>

 脂質異常症は動脈硬化性疾患の危険因子であり、その治療はとても重要です。高LDLコレステロール血症では酸化などにより変性したLDL由来のコレステロールが血管壁に蓄積して動脈硬化を発症、進展させます。一方、HDLコレステロールは血管壁に蓄積した過剰なコレステロールを取り出し、肝臓へ逆転送するために動脈硬化を抑制する作用を持ちます。また、著明な高トリグリセライド血症(TG 500 mg/dL以上)では急性膵炎のリスクが高まるといわれていますので注意が必要です。

動脈硬化の評価法 

 動脈硬化を評価するためには形態学的検査法と血管機能検査法があります。形態学的検査法には、超音波検査(頸動脈、大動脈、下肢動脈、腎動脈など)、CT、MRI/MRA、血管造影検査などが用いられます。血管機能検査法には足関節上腕血圧比(Ancle Brachial Index; ABI)・足趾上腕血圧比(Toe Brachial Index; TBI)脈波伝播速度(brachial ancle Pulse Wave Velocity; baPWV)などが用いられます。

<日本動脈硬化学会 脂質異常症診療ガイドより抜粋>

 

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