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減圧症 Decompression sickness

減圧症の分類

 スキューバダイビングなど、水に潜ることによって起こる健康被害を潜水障害と言います。主な潜水障害には窒素酔い、圧外傷性中耳炎、減圧症などがあります。減圧症(Decompression sickness; DCS)とは、スクーバダイビングの後に身体の組織や体液に溶解していた気体が環境圧の低下により体内で気化して気泡を発生し、血管を閉塞して発生する健康被害です。減圧症には、関節や筋肉に痛みまたは違和感(ベンズ)が出現するⅠ型減圧症(皮膚型)と、中枢神経が障害される型(中枢神経型)、眩暈を起こす型(メニエール型)、呼吸困難や胸痛などの胸部症状を起こす型(チョークス)などがあるⅡ型減圧症に分類されます。一般的にはⅠ型減圧症は軽症型と理解されますが、しばらくしてから中枢神経症状が出現することもあるので、注意が必要です。

減圧症の危険因子 

 潜水障害を起こす平均年齢は20-30歳代が約90%ですが、潜水死亡は慢性疾患を持つ40歳代以上のレジャーダイバーに多くみられます。減圧症の発症時期は潜水終了後より数時間から数日以内ですが、重症であるほど早期に起こりやすい傾向にあります。減圧症の発症危険因子として、40歳以上、飲酒、脱水、疲労、冷え、激しい運動、月経、20℃未満の水温、30m以上の水深、1日3本以上の潜水、急浮上、浮上後の400m以上の高所移動や18時間以内の航空機搭乗などが挙げられます。

減圧症の治療 

 減圧症の治療は、100%酸素を圧力の高い空間(高気圧治療装置)で吸入する高気圧酸素療法(Hyperbaric oxygen therapy; HBO)または再圧治療(Recompression therapy)を行います。高気圧酸素療法は、2絶対気圧(大気圧の2倍、水深10mの圧力)で1時間以上100%酸素を吸入することと定義されており、窒素気泡を再溶解させる作用、窒素を身体から排泄させる作用、虚血部へ酸素を供給させる作用があります。本治療は、減圧症以外にも一酸化炭素中毒、ガス壊疽など嫌気性菌による重症感染症、末梢血行障害などにも利用されています。

 <高気圧治療装置> *パプアニューギニアの診療所で撮影 

当院では高圧酸素療法はできませんが、スキューバダイビングを行う際に必要な診断書の作成、減圧症の診断および専門医療機関のご紹介を行っています(すべて自費となります)。また、スキューバダイビングをされる方へ医学的アドバイスだけではなく、お勧めのダイビングサイトのご提案などもインストラクターの立場から行っていますので、お気軽にご相談下さい。

* 当院はDAN JAPANの DD NET 協力医療機関です。院長はPADI認定インストラクター(817864OWSI)です。

* 症状のない減圧症に関する相談は自費(¥3,000)となりますのであらかじめご了承下さい。

* PADI 病歴/診断書

* ダイバーメディカル参加者チェックリスト(COVID-19罹患者)

 

新型コロナウイルス感染症とダイビング

* 新型コロナウイルス感染症とダイビングに関する資料(UHMS;UNDERSEA & HYPERBARIC MEDICAL SOCIETY 米国高気圧潜水医学会 2020.5)

COVID-19 パンデミックにおけるダイバー健診に向けてのサンディエゴガイドライン

COVID-19罹患後のダイビングに関するDANヨーロッパ医師たちの現場での経験

COVID-19罹患後のダイビングで知っておくべきこと

COVID-19罹患後のスキューバダイビングについて

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した人たちの中で、罹患前にスキューバダイビングをされていた方がいつから復帰してよいのか相談を受ける機会が増加しています。私自身もスキューバダイバーかつインストラクターであり、日本海洋レジャー安全・振興協会が運営しているDAN JAPAN(Divers Alert Network Japan)1)の協力医療機関(DD NET)に登録していることと、潜水医学の知識とCOVID-19診療経験を併せ持つ医師や施設が国内にきわめて少ないという背景があるのかもしれません。

 日本高気圧環境・潜水医学会によるCOVID-19関連情報2)(2020.5.28) によれば「①検査陽性の無症状感染者は少なくとも1カ月間待機して潜水再開前には医師の評価を受ける、②症状のある感染者は少なくとも3カ月間待機して潜水再開前には医師の評価を受け、必要に応じた検査項目として、胸部CT検査、呼吸機能検査、運動負荷検査、心エコー検査を含む」と明記されています。DAN EuropeのMedical teamによるガイドライン3)(2022.2)によれば「①検査陽性の無症状ダイバーは陰性になってから少なくとも30日待機して承認を受けるべき、②有症状者は検査陰性になってから30日間待機し、さらに30日間無症状であることを確認してから専門医による承認を受けるべき、③入院したダイバーは専門医の承認を受けるのに少なくとも3カ月待機すべきであり、この承認には肺機能検査、運動負荷試験、CTによる肺炎の治癒が含まれ、心臓に異常があった場合は心エコーおよび運動負荷試験で正常心機能であることを確認するべき」と明記されています。

 実際に私もこの指針に準じて受診したダイバーのCOVID-19発症時期、呼吸器症状や入院の有無を問診し、最低でも罹患1カ月後以降の再開指示、さらに万全を期するのであれば胸部CT検査を提案し、現存しているかもしれない肺炎の有無を確認するようにしています。肺炎で入院歴のあった方は所見が数カ月にわたり残存することもあり、許可するまでに時間がかかることもありますが、最近のオミクロン株流行以降では肺炎を合併する方は少なく、無症状や呼吸器症状のない方がほとんどであることから、1カ月程度の療養期間後に減圧リスクを伴わない潜水計画を立てるように指導した上で診断書を発行するようにしています。(日本医事新報【識者の眼】より)

【文献】

1)DAN JAPANホームページ. https://www.danjapan.gr.jp/ 

2)「with コロナ」下での潜水再開に向けての準備. 日本高気圧環境・潜水医学会ホームページ.

   https://www.jshm.net/file/covid19_0528.pdf 

3)What You Should Know About Diving After Covid-19. DAN Europe Foundation.

   https://alertdiver.eu/en_US/articles/what-you-should-know-about-diving-after-covid-19

 

 

 

 

 

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