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減圧症 Decompression sickness

スキューバダイビングなどの潜水活動において、浮上時に周囲の圧力が低下することで体内に溶け込んでいた窒素などの気体が気泡化し、血管や組織を圧迫・閉塞させて様々な不調を引き起こす病気を減圧症と呼びます。減圧症は関節の痛みや皮膚の異常だけでなく、重症化すると神経障害や呼吸困難などを伴う場合もあるため、早期の適切な対応が欠かせません。千代田区のグローバルヘルスケアクリニックでは、ダイバー健診や減圧症に関する医学的な診断・相談、専門医療機関へのご紹介を行っています。

減圧症とは?浮上時に起こる病気の仕組み

減圧症は、潜水中にかかる高い水圧の下で体内に溶け込んだ窒素が、浮上による減圧に伴って十分に体外へ排出されず、血管内や組織内で気泡化してしまう病態です。炭酸飲料のキャップを開けると一気に泡が湧き出る現象と同じ原理で、身体の中で微細な泡が発生します。発生した気泡は血管を塞いで血流を妨げたり、周囲の神経や関節組織を物理的に刺激したりして障害をもたらします。潜水終了後から数時間から数日以内に発症することが一般的ですが、重症であるほど潜水後早期に症状が出現しやすいという傾向があります。

減圧症の分類と現れやすい主な症状

減圧症は症状の重症度や障害される部位によって、大きく「Ⅰ型減圧症」と「Ⅱ型減圧症」の2つに分類されます。潜水後に身体の異変を感じた場合は、症状の軽重にかかわらず慎重な観察が必要です。

Ⅰ型減圧症(軽症型) 関節や筋肉の痛みや違和感(ベンズ)、皮膚のかゆみ、発疹、倦怠感などが現れます。
Ⅱ型減圧症(重症型) 感覚麻痺や運動麻痺などの中枢神経症状、めまいを起こすメニエール型、息苦しさや胸痛を伴うチョークスなどが現れます。

一見すると軽症に見えるⅠ型減圧症であっても、時間の経過とともに重篤な中枢神経症状が現れるケースもあるため、初期段階で軽く考えず医療機関へ相談することが大切です。全身のだるさや不調が続く場合は、総合内科での初期相談もご検討ください。

減圧症になりやすい要因と発症の危険性

減圧症は潜水計画の不備だけでなく、ダイバー自身の体調や環境要因が複合的に重なり合って発症リスクが高まります。潜水障害を起こす平均年齢は20歳代から30歳代が多くを占めますが、慢性疾患を持つ40歳代以上のレジャーダイバーでは重症化や潜水事故のリスクが高くなる傾向にあります。

減圧症の発症リスクを高める主な要因には以下のようなものがあります。

  • 40歳以上の年齢や生活習慣病などの基礎疾患
  • 飲酒、脱水状態、睡眠不足や疲労、身体の冷え
  • ダイビング直前・直後の激しい運動、月経
  • 水温20℃未満の冷水環境や、水深30mを超える深い潜水
  • 1日に3本以上の連続した潜水計画
  • 安全停止を怠った急浮上や、潜水後18時間以内の航空機搭乗

減圧症の標準的な治療法(高気圧酸素療法)

減圧症の根本的な治療法は、高気圧治療装置の内部で高気圧環境を作り、100%の医療用酸素を吸入させる高気圧酸素療法(HBO)または再圧治療です。この治療により、体内に生じた窒素気泡を物理的に縮小・再溶解させて体外への排泄を促し、血流が滞っていた組織へ十分な酸素を供給することができます。

高気圧治療装置(パプアニューギニアの診療所にて撮影)

高気圧酸素療法は減圧症の治療だけでなく、一酸化炭素中毒や重症感染症、末梢血行障害などの治療現場でも幅広く活用されている確立された医療技術です。

当院でのダイバー健診・診断書作成と医師療機関との連携

当院には高気圧酸素療法の治療設備はございませんが、スキューバダイビングを安全に楽しむためのダイバー健診やメディカルチェック、診断書の作成を行っています。診察の結果、減圧症が疑われ再圧治療などの高度な処置が必要と判断した場合は、東京科学大学病院高気圧治療部など、受け入れ体制の整った医師療機関を迅速にご紹介いたします。当院の院長はPADI認定インストラクターの資格を有し、ダイバー支援組織であるDAN JAPANの協力医療機関(DD NET)にも登録されています。ダイビングの現場環境を理解した医師として、ダイバーの立場に寄り添った的確な医学的アドバイスを提供いたします。

受診・診断書作成に関する費用と注意点

当院で行うダイバー健診や減圧症に関する相談、診断書発行にかかる費用は以下の通りです。

減圧症相談 自費相談料 5,500円
診断書発行(用紙持ち込み) 自費初診料 5,500円 + 文書料 5,500円
当院での規定フォーム用意 上記に加えて追加料金 3,300円
  • WEB問診の際は「内科全般」を選択し、自由記述欄に「ダイビング診断書希望」と明記してください。
  • 診断書の発行を希望される方は、原則として所定の用紙をご自身でご持参いただくようお願いいたします。

診断書関連の書類は、以下のリンク先から事前にダウンロードしてご利用いただくことも可能です。

海外渡航先でのダイビングを予定されている方は、渡航外来や英文診断書の作成についてもあわせてご相談いただけます。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後のダイビング復帰

新型コロナウイルス感染症に罹患した後は、呼吸器系や循環器系への影響を慎重に評価した上でダイビングを再開する必要があります。潜水医学の指針に基づき、当院では罹患時の症状や経過期間に応じたメディカルチェックを行っています。

潜水再開に向けての目安

無症状の感染者 陽性確認後、少なくとも1カ月(30日間)待機した上で医師の評価を受けます。
症状のあった感染者 陰性確認後30日間待機し、さらに30日間無症状であることを確認した上で評価を受けます。
入院治療を受けた方 少なくとも3カ月の待機が必要であり、呼吸機能検査や胸部CTによる肺組織の治癒確認が不可欠です。

診察では発症時期や呼吸器症状の有無を丁寧に問診します。安全性を重視し、必要に応じて胸部CT検査などをご提案し、肺炎像の消失を確認した上で無理のない潜水計画をご案内いたします。

関連資料・参考文献

減圧症についてのよくある質問

Q1. ダイビング後に身体が痛むのですが、筋肉痛と減圧症の見分け方はありますか?

A1. 筋肉痛は運動させた特定の筋肉に痛みが出ますが、減圧症の痛み(ベンズ)は関節部や深部に鈍い痛みとして生じることが多く、マッサージや安静で改善しにくい特徴があります。潜水後数時間から24時間以内に発症した場合は減圧症を疑い、早期に医療機関へご相談ください。

Q2. ダイビング直後に飛行機に乗ってはいけないのはなぜですか?

A2. 潜水直後は体内に窒素が残っています。航空機の客室内は地上よりも気圧が低く設定されているため、気圧の低下によって体内の窒素が一気に気泡化し、減圧症を発症または悪化させる危険が高まるためです。単一潜水でも12時間以上、複数回潜水では18時間以上の待機が推奨されます。

Q3. ダイバー健診を受けたいのですが、予約はどのようにすればよいですか?

A3. 当院のウェブ予約・問診システムをご利用ください。問診票の選択項目で「内科全般」をお選びいただき、自由記述欄にダイバー健診希望の旨をご記入いただくと、ご来院時の受付から診察までスムーズにご案内できます。

院長より

グローバルヘルスケアクリニックでは「Patient First」の理念を掲げ、医療の安全性と質の確保を第一に診療を行っています。院長自身がPADI認定インストラクターであり、ダイビングの魅力と水中で生じるリスクの双方を深く理解しています。当院では無理な囲い込みを行わず、高気圧酸素療法などの専門的医療が必要な場合には、責任を持って適切な専門医療機関へお繋ぎします。麴町駅から徒歩1分、半蔵門駅から徒歩5分、市ヶ谷駅・四ツ谷駅からも徒歩圏内に位置しておりますので、ダイビング前の健康診断や潜水後の体調不良でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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