中国・武漢での肺炎発生(第4報)
世界保健機関(WHO)は14日に記者会見を行い、中国・武漢で発生している肺炎について、武漢からタイへ渡航した患者から新型コロナウイルスが検出されたことを認定しました。既に中国当局は新型コロナウイルスが確認されたことを9日に公表していましたが、これで世界的に認定されたことになります。WHOの報告(2020.1.12)によれば現在までに判明している事実は以下の通りです。
・この流行は武漢市の海鮮市場から拡散したと考えられるが、この市場は1月1日に閉鎖されている。
・患者の加療に携わった医療従事者の感染は確認されておらず、市中におけるヒトからヒトへの急速な感染拡大も明確ではない。
・これまでに武漢市では41例の患者が報告されており7名が重症で基礎疾患を持つ1名の死亡が報告されたが6名の患者は既に退院している。
・報告されている主な症状は、発熱、エックス線上の陰影で、呼吸困難を呈する症例は少ない。
・8日にタイで報告された武漢からの旅行者にも新型コロナウイルスが検出されたことが確認されたが、該当患者は回復に向かっている。
これらを踏まえると、同様のコロナウイルスによる重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)に比べて病原性や感染力は低い印象ですので、過剰に恐れる必要はないものの、今後新たな患者発生の可能性も十分に考えられることから、信頼のおける正確な情報の入手を心掛けることは重要であり、特にこれから迎える中国の春節時期に予想される多くの中国人の訪日、および中国からの帰国者に対する水際対策の強化が望まれます。厚生労働省は中国から公開されたウイルスの遺伝子配列情報に基づき、国立感染症研究所で検査方法の確立に向けた作業を進めていることを明らかにしています。
該当地域から帰国された方で発熱など、体調のすぐれない方は直接医療機関を受診するのではなく、まずは最寄りの保健所にご連絡のうえ、受診医療機関の指示を受けるようにして下さい。
本日、民放テレビ局から夕方のニュースへの出演依頼をいただいたのですが、患者さんの予約が多く入っておりお断りせざるを得ませんでしたので、この場でコメントさせていただきました。