’25/12/25 インフルエンザ報道「その後」
クリエーターとして運営している日経 COMEMOに最新記事「インフルエンザ報道「その後」」を投稿しました。一部を公開します。
先月はインフルエンザの流行前倒し、変異型の流行など周囲の状況からも実感された方は少なくはないと思います。実際に9月初旬は学校行事などで生徒さんを中心とした流行がみられ、学級閉鎖も散見されました。その後いったんは落ち着いた印象でしたが、10月下旬(40週あたり)から再び流行が再燃し昨年末と同じような患者数の急増が確認されました。この原因の一つとして考えられているのが「サブクレードK」と呼ばれるインフルエンザAH3の亜型です。
最近あまり取り上げられなくなったインフルエンザ流行報道の「その後」はどうなったのでしょうか?
現場での実感からすると昨年末のAH1の数年ぶりの大流行の時と状況はあまり変わらず、ワクチン接種をした人たちが次々と罹患している印象でもなく、大騒ぎしたあとの流行曲線を見てみれば昨年末のピークよりも低く現在は完全にピークアウトしています。このこともしっかりと伝える必要があると考えていますが、経験上視聴者を安心させる報道は好まれない印象です。
では年末年始を迎えるにあたって再び大きな波が来るのでしょうか?
昨年の大きな波の「その後」を見てみると1-3週(1月中)に小さな波が確認できますが、その後は収束に向かっています(青線)。一昨年はというと5-7週(2月中)に高い波が確認できますが、昨年の1月の波とほぼ同等で14週(3月中旬)あたりには収束に向かっています(緑線)。すなわち、大きな波が来た場合は短期間に集団免疫が獲得されることによって早期に収束する傾向にあるということです。実際に現在の診療状況ですが、発熱の方はあまり見られなくなり、検査を実施してもインフルエンザでもCOVIDでもない方が増えてきました。
但し注意しなければならないのは、年末年始には海外渡航される方が通常期よりも増加するということです。年末年始の旅は「高・遠・長」、海外渡航者3割増 富裕層がけん引 - 日本経済新聞
国内の流行は収束したとしても海外諸国ではインフルエンザやCOVID、日本にはない熱帯感染症などの発生は常時みられるわけであり、海外渡航者診療を常時行っている当院では、羽田や成田から直行される高熱の患者さんは国内の流行状況に関係なくインフルエンザやCOVIDであることが少なくありません。従って、年明け1月中旬くらいまでは帰国者からの伝播による流行の再燃はあるかと考えますが、最近のトレンドを考慮すると秋にみられたような大流行になる可能性は低いのではないかと推測しています。但し、感染源が消失している訳ではありませんので、高熱の方はもちろんですが体調のすぐれない方は「無理をして帰省をしない」「大人数で集まる会合などには参加しない」といった一人ひとりの心がけが重要となります。
まだ流行中ではありますが、だいぶ落ち着いてきています。
